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maliceberryblog

【リリース1周年】THE OMEN制作秘話①~構想編~




それは、覚醒への凶兆。

音楽作品という枠を超えた、渾身の作品。

創立以来の想いの全てを凝縮した結晶。




こんばんは、YUKISHIBAです。


1st Grand Cru 『THE OMEN』リリース1周年特集


『THE OMEN』制作秘話を一挙公開します!



Twitterや過去のブログなどでバラバラに書いたことや店頭で喋ったこともあるかもしれませんが、正直どこまで話したか覚えてません!←


ただ普段は明かすことのない裏側の話も含め、書ける限りここに全てまとめていきたいと思います!



狂気の3部構成…!!


マリベリ初にして渾身のオリジナル作品『THE OMEN』はどのようにして生まれたのでしょうか…?



本編の前に…



『THE OMEN』には曲名をどこにも明記していない「シークレットトラック」があります。


本筋となる曲同士を繋ぐための曲だったり、前奏曲だったりする(つまりサブ的な曲)ので見栄え上名前は省いておりました。


ただ、意外と「この曲の名前が気になる!」という声がオーナー様から届いておりましたので、収録曲すべて紹介します!



曲名、お納めください…!


1 THE OMEN -Prologue-

2 SLY GARNET DOLL

3 Alice In Heavy Haze

4 雨だれ(Instrumental)

5 doze

6 New Horizon Anthem

7 UNWITCH MAGIC!

8 101 154 154 40 164 157 157 40 154 141 164 145

9 Count the 4



さぁここから本編。

第1弾は『THE OMEN』誕生にまつわるお話をしていきます。




最初の「特級品(Grand Cru)」が生まれるまで



Grand Cru(仏/グラン・クリュ):特級畑の意。ワインの世界でよく使われる用語。特級畑に区分される畑で栽培された葡萄で作られたワインのラベルにはGrand Cruと表記される。


フランス、特にブルゴーニュ地方では畑の区分が厳格で、Grand Cruの下にはPremier Cru(プルミエ・クリュ/1級畑の意)がある。



マリベリでは、ざっくり言うと内容量・仕事量が大きい順にGrand Cru→Premier Cru→2nd Label→Half Bottleという区分になっています。


全てワインをベースにした呼称ですが、そのきっかけとなったのが『THE OMEN』なのです。



この後に詳しく説明しますが、『THE OMEN』が生まれた時、

これからマリベリが生み出していく作品はきっと一般的な音源作品の枠で捉えきれないことがままあるだろう、

それらに対応するために、「アルバム」や「シングル」に代わるマリベリ独自の作品区分が必要だろうと考えました。



そう悩んでいた時に僕の耳元で囁いてくれたのがワインの神様・バッカス(またの名をディオニュソス)でした…



そんな中でも「グラン・クリュ」を冠する『THE OMEN』はマリベリのフラッグシップにしてまさに「特級品」。


マリベリの本気の本気、持てる全てを結集して作った最大ボリューム・最高密度の作品に対する呼称なのです。




マリベリにおいて、作品に対して「(フル/ミニ)アルバム」「シングル」あるいは「CD」という表現は用いず、原則作品名で呼んでいます。


これも、僕等が作品への想いのかけ方を感じ取って頂くための一つのこだわり。

モノ・商品でありながら、それを超えた存在であるという気持ち。




『THE OMEN』以前にあった幻?の作品


さて『THE OMEN』の誕生を語るためには、この作品に触れておかねばなりません。


幻の1st Mini Album 『ARISING』に。





少なくともM3以降知り合った方の間では、『THE OMEN』がマリベリ初の音源作品ということで一致しているかと思いますし、僕も「初の本格オリジナル作品」と宣伝しています。


が。実はそれよりも前があるんですね…



ただね、嘘はついてないんですよ。

何故なら『ARISING』は「本格」オリジナル作品ではないから。


「本格」なんてとても言えないですよ。



だってデジタルなんだもん!!(アナログ過激派)



『ARISING』は、Tunecoreというサービスを介してLINE MusicやApple Musicなど色んなプラットフォームに配信されました。

3年間配信していたので、聴いた方もいるのではないでしょうか。



デジタルなのが問題というよりも、急ごしらえでとりあえず公開したものであることが問題。


コロナ禍の初め頃に、期間限定でTunecoreが1作品無料というキャンペーンをやっていたのです。



マリベリはそれまで広範囲に有償で音楽を販売したことがなかったので、とにかくこのチャンスにやってみようと、その段階で仕上がっている音源をまとめて作ったデジタルミニアルバムが『ARISING』。



実は今年の3月にひっそり配信終了しました。

継続することも出来たのは出来たのですが、僕の判断で「幻」にすることにしました。


有難いことに配信で『ARISING』を聴いてくれて、感想をDMしてくれた方もいたのですが、

僕としては「これをマリベリのスタンダードだと思って欲しくない」という思いが大きく、可能な限り早くちゃんと形のある作品でリベンジすると誓ったのでした。



あり得ないでかい「ミニアルバム」


とはいえ可能な限り早くといっても、まだまだ沢山の時間を要することは火を見るより明らかでした。


まず話しておきたいのが、マリベリにおいては現時点で約6つのGrand Cruの構想があり、少なくとも3つ目までは順番もほぼ決まっているということ。



ここもマリベリ作品の大きなポイント。


1曲単位で手軽に完結することが好まれる昨今にあって、アルバム単位で完結する作品を作るだけでなく、そのアルバムを連結させることで一つの大きな世界を描いていく


その世界がどんな結末に向かっていくのかは、僕にすらまだわからない。

それがマリベリがこれから何年・何作品とかけてやろうとしていることです。



ただし、そんなことをやろうとするものだから、まだまだ技術面や構想の練り込み・作り込みの面でハードルが非常に高く、時間を要します。



それでも、当時の僕としては何としても形のある音源作品を少しでも早くリリースしたかった。

しかもシングルではなくアルバムで。(当時はまだGrand Cru/Premier Cruなどの呼称ではなかった)


有料で販売されている作品が『ARISING』しかない状況が5年も6年も続くのは嫌だ!←


マリベリの本気を結集した音源作品を少しでも早くリリースしたい!という思いが先行しての決断でした。




ただ、この時はまだ『ARISING』より数段凄い「ミニアルバム」を作りたい!で止まってました。

まさか1st Grand Cruを名乗ることになるとは思っておらず、『THE OMEN』も本来なら1st Mini Albumになるはずだったのです。



僕の中のぼんやりした基準では、収録曲が10曲未満ならミニアルバム

で、『THE OMEN』もシークレット音源を含めて9曲。


というかそれ以前に先に話した「最初のフルアルバムをどれにするか」に関する構想まで変えたくはなかったので、(デジタルじゃない)ミニアルバムという形で出そうとしていました。



しかし、『THE OMEN』がそれを望まなかったのです。


『THE OMEN』には音楽の一般的な通年など通用しません。

どんな作品になるべきか、どんな存在として世に送り出していきたいか…それに可能な限り忠実に作った結果が、オーナー様もご存じの通りのどでかいパッケージなのです…!




『THE OMEN』が背負う2つの役割



そうまでして「本来予定には無かった作品」を作るからには相応の意味が必要。


『THE OMEN』をどんな作品にするべきか?というと【マリベリの入口】です。



そのために備えているべきものが、一つ目にはとにかく「今の自分達が持てるもの全て」を凝縮した作品であること。


そして二つ目に、「ずっと前からマリベリを知っている人・初めてマリベリに触れる人両方にとって満足のいく作品」であること。




数年ぶりのオフライン即売会イベント復帰を果たすM3春2022を睨んだリリース。


M3で出会うほとんどのゲストにとって、初めて触れるマリベリオリジナル作品が『THE OMEN』になるだろうというのは簡単に想像出来ました。




《作り手を知ることは、作品を知ること。》



マリベリの作品は、作品だけで完結しません。


楽曲の密度・味わいの質に拘るのは当然。

そのうえで、マリベリ楽曲を少しでも聴き手にとって近い存在にする。初心者にとって少しでも深く味わいやすいものにする。



ただ「なんかダークな世界観で曲を作っている人」という情報しか盛り込めないのであれば、それはもはやマリベリ作品としての役割をまるで果たしていないとすら言える。



今のマリベリが表現できる、可能な限り全てを一つに凝縮する。

まさに創立以来の同志から初めてマリベリに触れる方まで必携の「マリベリ入門書」を目指したのです。




最初は「本型」になる予定だった??


↑ブックレットのデザイン案。



ここで幻となったデザイン案についてもお話ししましょう。


「マリベリ入門書」を目指していただけあって、最初にあったデザイン案は「本型」でした。

A5くらいで約30ページ+ディスク同封のハードカバーブックレット型ジャケット。


すごくね??(自分で言う


こんな特殊なジャケット作ってくれる業者あるの?と思いきや実はあるんですね。

ブックレット型を始め特殊なジャケットを請け負っている業者をいくつか見つけて、実際に見積もりもしました。



聴いて驚け、30万オーバーだ…

しかも製本数にも下限があって、結構な数の在庫が出来ることになるんだ…



びっくりしたよ。本作るのって高いんだな!←

ハードカバーを手作りする人が多いのも納得だよ。


(だからな、逆に言えば世の中に出回っている本の値段って本当には破格ってこと。皆もっと読もうぜ!)



M3で販売することを考えたら、価格もそこまで吊り上げられない。

そうなるとほぼ原価率100%も見えてくる。

これでは流石に資金の負担が大きすぎる。当然一つ一つ製本する程の時間はない。ということで泣く泣くこのデザイン案は断念。



さてどうしたものか。しかもM3春でのリリースということを考えると結構ギリギリなタイミングでの断念は効いた…!


…とここで機転を利かせてくれたのがマメウサ。


そう、現在の箱型デザインは、こんな窮地を打開する為のマメウサの案だったのです…!



箱の中にディスクとブックレットを入れる。これなら組み立ての手間はあるが価格も安く、イベントにも何とか間に合う。


この案によって直前にして最大のピンチを脱したのであった!




5業者の力を結集


いかに特殊ジャケットを請け負う業者があるとはいえ、『THE OMEN』を1社で全て組み立ててくれる業者はいないわけです。

それに複数社に分けた方がかえってコストを抑えられることもある。


結果、『THE OMEN』作成のために合計5社に発注をしました。


箱、ラベル、ディスク、ブックレット、デジトレイ(ディスクをはめておく部品)。



実は作品の制作に関して業者の力を借りたのは『THE OMEN』が初めて。


はっきりいって、「プロの力」とはこんなに凄いのかと衝撃を受けました。


特にブックレットとラベル。


ブックレットは真っ黒背景に赤い文字のページとかもあるんですが、家庭用のインクジェットプリンターなんかでこんなページ印刷しようものなら紙べっこべこ!+文字ぼっやぼや!+プリンター中身めっちゃくちゃ!なんてことになりますよね。


それが業者に頼んだらそんなページも綺麗に印刷できてる。表紙の質感もばっちりで丈夫そう。


ラベルもすんごい細かい線もあるのにきちんと印刷できてることに感動。

銀で光沢のある素材をチョイスしたのも大正解。


そんなだから一つまた一つとパーツが届くたびに小躍りものの大興奮でしたね。



ただデジトレイの業者(Amazonで注文した)。テメーはダメだ。プチプチは愚かクッション用の紙すら入れず薄い段ボール箱にぎっちぎちに詰めて送るもんだから、結構な数の割れが出てたぞ。




『THE OMEN』にまつわるお金の話2選



とまぁここまでもお金絡みの話がちらほらありましたが、裏話と言えばやっぱりお金の話ですよね(?)

というわけでダメ押しのつもりでお金絡みの話をもう二つしておきます笑



先に挙げた5つの部品の中で一番高かったのはどれだと思いますか?



フルカラー美麗印刷のブックレットか、レーベル面印刷も施したディスクか…





正解は、箱です。



箱って高いのな!!←

でも言われてみれば箱って機械で作るの難しそうだし、機械にしても立体である分大掛かりにはなりそう。


何より質感も良くて丈夫。値段の分だけの高級感はあります。




そしてもう一つが原価の話。


現在マリベリが扱っている音源作品は3作品。

その中で原価率が最も高いのは『THE OMEN』なんです。


一番高価格なのも『THE OMEN』ですが、そういう意味で一番お得なのも『THE OMEN』なのです。



ちなみに2番目が確か『Sound Horizonを愛の力だけでカバーしてみた』だったはず(曖昧なんかい)


どうやら価格と原価率が相関関係にあるようで…笑



このサンホラカバー作品の原価率を押し上げている要因は著作権使用料です。

心の清らかなローランが安心してお迎え頂けるよう、著作権使用料をちゃんと納めているんですね…!





とまぁこんな感じで…第1弾、構想編をお送りしました!

自ら言わないと伝わらないところだろうと思いますが、『THE OMEN』誕生までの道のりにも色々あったんです。


大変なこともあったし、構想の全てが叶ったわけではない。

けど叶わなかったことがあれば、それによって生まれた閃きもある。



例えば初動がもっと早くければ、あるいは資金力や影響力がもっとあれば、ハードカバーブック型の『THE OMEN』がリリースされていたかもしれません。


けど、今となってみてはこのボックス仕様の『THE OMEN』が、特別感があって好きです。

なんたってこのワインのようなラベルがボックスの重厚感を何倍にも増している!笑



次回以降は更に作品の中身に踏み込んでいきます。


どうぞお楽しみに!



YUKISHIBA


第二部・イラスト編


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