努力している以上避けて通れないのがスランプ。僕自身何度ドツボにはまったことか…。
そんな経験を振り返ると、人がドツボにはまる時、実はある決まった行動パターンがあるのでは?ということに気付きました。
こんばんは、YUKISHIBAです。
今回は僕のスランプ経験から得られた「ドツボにはまる人の行動パターン」についてお話します。
何においても、努力を続けていればいつか必ずやってくるのがスランプという奴だと思います。
かくいう僕もボイトレや楽曲制作、作詞、MIX/マスタリング…色んなスランプを経験しました(しかも何度も)
そんな思い出話も交えながら、スランプにはまる原因となる行動パターンや、はまってしまった時の脱出法について説明していきます。
一生歌えなくなるという恐怖
スランプでもがくのは努力と想いの強さの証。
…なんて浸っているうちに取り返しのつかないことになってしまうのがヴォーカルの恐ろしいところ。
ヴォーカルにとって最も恐ろしいのは、自分の声で歌えなくなることです。
ところが一時期、僕もそんな恐怖を覚えたことがあります。
歌っていてとにかく喉がもたなくなってしまったのです。
確かに普段から喉は丈夫な方でないし、その割には色んな声を出して酷使します。
なので今までも歌い続けているうちに声が枯れてきたり腫れてきたり…というのはありました。
ただ、たった5曲程度歌っただけで音程がきちんと取れなくなるほど喉が腫れるようになって、流石に異常だと感じました。
※声の音程は声帯の振動の仕方(2枚のヒダのぶつかる速さやぶつかる時の形)によって変わるので、声帯が腫れると本来の振動が出来なくなるのでキーの調節が狂ったりします。
悪いことに、当時はマリベリとして2回目となる秘密会合(単独公演)の直前期だったのです。
「あれ、もしかして自分もう二度と会合出来ないの??」
という恐怖が割と本気でよぎりました。
スランプを脱することが出来た理由
喉の異常に関して、色んな可能性を疑いました。
声枯れの時に飲むお気に入りの漢方があるのですが、それを飲むのをサボり過ぎたせいか?
タンパク質が不足してたか?
それとも声帯や首・肩の周りが変に固まってるのか?
まずは漢方を飲むようにし、たんぱく質の量を増やし、今まで無頓着だった首・肩を中心とした体のストレッチも試してみました。
それ自体は普通にヴォーカリストとして良い習慣だとは思うんですが、相変わらず4曲ぐらいで喉は腫れます。
そもそも今まではこんなことをしなくても、4曲程度でここまで喉が弱ることは無かった。
本当の原因は別にあって、それを何とかしない限り漢方もストレッチも意味ないのでは…?と思うようになり。
そこでもう一つ思い当たったことが、「独学で取り入れたボイトレ」です。
実はマリベリが地上での音楽活動を始める数か月前から、僕は地上で3年ほどレッスンを受けていました。
恩師のもとを離れた後は、レッスンで学んだことに加え、独学で歌い方を矯正してみたり、新しいトレーニングメニューを取り入れてみたり。
そのおかげか、今まで出せなかった声は出せるようになりましたが、独学で取り入れたものの中に何かよからぬものがあったのかもしれません。
大抵のヴォーカリストは、経験を積み重ねるにつれて歌い方も変わっていきます。
しかし常に正しい方向に変化するとは限りません。
僕のように独学ならなおさら。
そこで僕は、とにかく初期段階に立ち戻ろうとしました。
敢えてある程度初期の歌い方にいったん戻ることで、悪い癖が付く前の状態に立ち戻ろうと思ったのです。
そうするとあら不思議。
今まで3曲目でだんだん腫れ始め、4~5曲目では特定の音程がブレブレになっていたのが、7曲、8曲歌ってもブレブレにならなくなりました!
しかも女声曲を含めて7、8曲ですからね。
ひとつ発見だったのは、プロのインストラクターの凄さを思い知ったこと。
レッスンを受けていた時は、トレーニングを続けた先に自分が出したい声があるのか疑わしい時も正直ありました。
ですが、あれらのレッスンは僕があの時想像してた以上に僕に最適化されたメニューだったんだな…と。
YouTubeで無料で公開されるボイトレ動画だと、トレーナーのキャリアは凄いのだろうし、知識もより新しいのでしょう。
が、個々人に最適化したトレーニングは出来ません。
動画の内容が自分にマッチしている時は良いのですが、自分に合わないトレーニングを繰り返すことで払うツケが想像以上に大きいことにも驚きました。
そもそもそのトレーニングはマッチしているのかどうかを自分で判断するのは並みのことではありません。
そりゃあお金取れるはずだよ、インストラクター…
歌い手的にはここまでの情報でも価値ありましたね!(?)
けど本当に大事なのはここから。
インストラクターの凄さを思い知ったと同時に、今回のスランプを通してわかったことがもう一つあります。
それが「自分がドツボにはまる時のパターン」です。
ドツボにはまる「訓練兵ムーヴ」
ボイトレに限らず、スランプにはまる前にはある決まった行動をしていることに気付きました。
それは
何かが上手く出来ない!→悔しい!→狂ったように情報を集める!→迷走する!
のパターンです。
MIX/マスタリングで大迷走した時もきっかけはMIXにダメ出しを受けたのが悔しくて勉強を始めたのがきっかけだったし、
ボイトレでのスランプに至っては常に自分の声に不満・コンプレックスがあるせいです。
悔しさや好奇心ベースで動く習性そのものがそんなに悪いわけではありません。
悪いのは客観性を欠いた自己評価の低さです。
このテンプレにはまる際のメンタリティが軍隊に入隊する際の洗礼に似ていると感じたことから、訓練兵ムーヴと呼んでいます。
入隊時の洗礼といえば、徹底的な人格の否定です。
米海兵隊の入隊時にそれを行っているのを過去に何かの番組で見て印象に残っています。
また、『進撃の巨人』でも描写されてますね。
今の自分は必要なことを何一つ出来ない無能であることを最初に叩き込む。
そうすることで余計なプライドを破壊し、まっさらな状態から一人前の軍人として鍛え上げる。
目標としている声を目指した瞬間、僕は軍の訓練兵になる。
「今の自分の声は最低最悪、聴かせる価値のない声。よってそれを一から鍛え直すことで理想の声を作り上げる」
という感じです。
けど、現実を見てみると、自分の声はいうほど最低最悪ではないんですよね。
確かに理想の声ではないし、目標を持つのは大切です。
しかし、そんなにあちこちいじくって抜本的に変えないといけないほどダメではないんです。
それもそのはず、今までレッスンや自主練習を通して積み上げてきた知識や身体感覚がある。
未完成かもしれないけど、全て壊して新たに作り直さないといけないほど変な歌い方はしてない。
現に今までの歌い方で、過去には90分近く舞台で歌い倒したことだってあるんだから、少なくとも4~5曲でまともに歌えなくなる歌い方よりは何倍も正しいはずなんです。
ただ、目の前に自分がまだ手に入れていない声が現れた瞬間、僕の心は目の前の理想に燃えます。
理想に燃えている間は、そういう現実が見えなくなるのです。
せっかく60点くらいまで上げてきた自分の声が、「もっとこういう声で歌いたい!」と思った瞬間0点評価になるのです。
いくら理想に燃える若者でもこれはやりすぎですよね。
訓練兵ムーヴを脱するためには
目標が出来た瞬間、今の自分を最底辺に位置付ける。
それが、僕がドツボにはまるパターンだったんだと思います。
目の前に欲しい声や能力が出来た瞬間、今まで積み上げてきたものが僕の中ですべて無価値になる。
まさに軍隊の洗礼のように、それまでの自分がまっさらになるのです。
ただ、洗礼を受けた瞬間を人はなかなか自覚できません。
スランプに入って苦しくなってから、「あれ…?今変な道進んでる…?」となるのが常。
もし内なる鬼軍曹の洗礼によってこれまでの積み上げがまっさらになってしまったら、もう一度自分をまっさらにし、洗礼を受ける前の状態に戻しましょう。
まぁ、僕が特別頭悪いだけかもしれませんが、反面教師として役立てられればと思いお話しました。
新たな道を拓く時には、今までの積み上げを発展させる気持ちも大切に。
そしてもし訓練兵ムーヴをかまして迷走してしまった時は、そのまま暗中模索しようとせず、迷走する前の段階に戻ること。
それが結局近道だったりするものです。
YUKISHIBA
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